役員の選任・任期・責任:代表権・欠員・利益相反・個人責任の見通し

役員の責任は、団体の型と、役員が何をしたかで見通しが変わります。権限・任期・欠員・利益相反を会則に書き、体制と記録を整えます。

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会長の権限と決裁の基準が書かれていないと、高額の契約を一人で決めても、後から点検することができません。

このページの要点

  • 認可地縁団体は代表者1人、NPO法人は理事3人以上と監事1人以上。法人格のない会は会則で役割ごとに決める。
  • 代表権の制限は、認可地縁団体では善意の第三者に対抗できない(地方自治法260条の7)。決裁の基準は内部の統制として会則に書く。
  • 役員の責任は、会に対して(善管注意義務など)、第三者に対して(不法行為)、団体としての責任に分けて考える。役員だから自動的に全責任を負うわけではない。
  • NPO法人は、欠格事由(20条)、親族等の人数の制限(21条)、報酬を受ける者の数(2条2項1号ロ)、任期2年以内(24条)に注意する。

結論:役員の責任は、団体の型と、役員が何をしたかで見通しが変わる

「会長を引き受けたら、何かあったときに自分が全部の責任を負うのか」「会計を引き受けて、お金が合わなかったらどうなるのか」。役員のなり手が見つからない最大の理由は、この不安です。結論を先に言うと、役員の責任は、法人かどうか、役員が会に対して負う義務を果たしたか、第三者に損害を与える行為をしたかの三つの軸で見通しが変わります。「役員になったから自動的に全責任を負う」というわけではありません。

役員の仕組みも、団体の型で違います。認可地縁団体は「代表者」を1人置き、NPO法人は理事3人以上と監事1人以上を置きます。法人格のない会は、会則で自由に決められます。次の表は、このページで扱う論点を団体の型ごとに並べたものです。

団体の型ごとの役員の枠組み

法人格のない同好会・サークル

会則・民法(委任の規定)

  • 役員の種類、数、任期、権限は会則で自由に決める。
  • 役員と会との関係には、委任の規定の考え方が当てはまると考えられる(民法643条・644条)。
  • 団体の名で訴え、訴えられる範囲は、民事訴訟法29条による。

認可地縁団体

地方自治法260条の5〜260条の12

  • 代表者を1人置く(260条の5)。監事は規約または総会の決議で置くことができる(260条の11)。
  • 代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗できない(260条の7)。
  • 一般社団法人法4条・78条を準用する(260条の2第15項)。

NPO法人

特定非営利活動促進法15条〜24条

  • 理事3人以上、監事1人以上を置く(15条)。
  • 役員の任期は2年以内で定款で定める(24条1項)。
  • 欠格事由(20条)と、親族等の人数の制限(21条)がある。

役員の個人責任の見通しは、このあとの「役員の責任」の節で整理します。団体の型の全体像は会則・規約・定款の違いと作り方、法人格のない会は同好会・サークル・PTAの法的な位置づけで扱っています。

役員の種類と数、選び方

役員とは、会の運営の責任を担う人のことで、会長、副会長、会計、書記、理事、監事などの役職があります。役職の名前は会ごとに違いますが、整理すると、会を代表する人、日常の事務を動かす人、お金や業務を点検する人の三つの役割に分かれます。会則には、役職の名前ではなく、役割と権限を書いておくと、名前が変わっても運営が揺らぎません。

役職ごとの役割と、団体の型による違い

役割法人格のない会認可地縁団体NPO法人
会を代表する人会則で会長などを定める。代表者を1人置く(地方自治法260条の5)。代表者はすべての事務について団体を代表するが、規約に反せず、総会の決議に従う(260条の6)。理事はすべて法人の業務について法人を代表する。定款で代表権を制限できる(NPO法16条)。
業務を決める・動かす人会則で役員会などを定める。規約で代表者その他の役員に委任したもの以外は、総会の決議で行う(260条の16)。業務は定款に特別の定めがなければ理事の過半数で決める(NPO法17条)。
点検する人会計監査、監事などを会則で任意に置く。監事は規約または総会の決議で置くことができ、財産と業務の執行を監査する(260条の11・260条の12)。監事を1人以上置く。理事または職員を兼ねられない(NPO法15条・19条)。

役員の選び方にも、いくつかの型があります。総会で立候補と推薦を受けて選ぶ型、選考の委員会が候補者を総会に提案する型、班や地区ごとに順番に出す輪番制の型、くじで決める型などです。どの型を採っても、最後は総会で選任するという手続を残しておくと、役員の正当性が確保されます。NPO法人の役員の選任方法は定款で定めますが、定款で役員を社員総会で選任することとしている法人があります(NPO法24条2項はこの形の法人について任期の伸長を認めています)。

役員になれる人の資格も会則に書いておきます。会員であること、活動に参加できること、特定の事由(長期の欠席、会費の滞納)がないことなどです。NPO法人の場合は、後で述べる欠格事由と親族の人数制限が、法律で決まっています。

代表権と決裁権限:会長に何をどこまで任せるか

会長や代表者が、会の名で契約を結んだり、お金を支出したりできる範囲が、代表権と決裁の権限です。ここを曖昧にしていると、会長が一人で高額の契約を結んだ、会計が独断でお金を貸し出した、といった問題が起きても、「会長にその権限があったのか」を判断できません。

認可地縁団体の代表者は、団体のすべての事務について団体を代表しますが、規約の規定に反することはできず、総会の決議に従わなければなりません(地方自治法260条の6)。ここで注意したいのは、代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができないとされている点です(同法260条の7)。たとえば、規約で「○円以上の契約は総会の決議が必要」と定めても、その制限を知らずに契約した取引先に対しては、制限を理由に契約の効力を否定できません。そのため、決裁の制限は、会の内部の統制(役員の責任を後で問うための根拠)として機能させる、という位置づけになります。NPO法人では、理事はすべて法人の業務について法人を代表し、定款をもってその代表権を制限することができます(NPO法16条)。業務は、定款に特別の定めがなければ、理事の過半数で決めます(同法17条)。

また、代表者や理事が、特定の行為を他人に委任することも、規約・定款や総会の決議で禁止されていないときに限り認められます(地方自治法260条の8、NPO法17条の2)。「会計を担当者に任せきりにして、代表者は通帳を見たことがない」という運用が起きがちですが、委任できる範囲を決めておくことで、責任の範囲もはっきりします。

会則の例代表と決裁の権限

  1. 会長は、会を代表し、会務を統括する。会長は、この会則および総会の決議に従い、会の事務を行う。
  2. 会長は、1件につき○円以上の支出、契約の締結および会の財産の処分については、あらかじめ役員会の承認(○円以上の場合は総会の決議)を得なければならない。
  3. 会計は、会長の指示に基づいて、会の金銭の出納および帳簿の記録を行う。会計は、通帳と印鑑を、会長または他の役員と分けて保管する。
  4. 会長は、会の名義でする契約および口座の開設について、役員会の承認を得て、会の名義で行わなければならない。個人名義で行ってはならない。

金額は「○」と伏せています。第2項の金額は、会の収支の規模に合わせて決めます。第4項の名義の定めは、会の財産と役員個人の財産を分ける意味があります(口座の名義は会のお金の管理と会計の引継ぎで扱います)。

書き方の例(一般的な例) 代表権と決裁

代表の権限

よくある書き方「会長は、会を代表する。」とだけ書く。
整えた書き方会長の権限に加えて、一定額以上の支出や契約は、役員会または総会の承認を要するという決裁の基準を書く。

理由決裁の基準があれば、基準を超えた契約を後から点検できる。認可地縁団体では、取引先に対抗できなくても、内部の責任追及の根拠になる。

名義

よくある書き方契約書や口座を、会長個人の名義で作る。
整えた書き方会の名称と、代表者の肩書を付けた名義で契約し、口座も会の名義で作る。

理由個人の財産と会の財産が混ざるのを避ける。会長の交代のときの名義変更もしやすい。

他者への任せかた

よくある書き方会計が実質的にすべてを管理し、会長や監事は内容を知らない。
整えた書き方会計の権限を会則で決め、通帳と印鑑を分け、会長が定期的に出納を確認する。

理由責任の範囲が明確になり、会計一人に責任が集中するのを避けられる。

任期・再任・欠員・辞任:交代のたびに運営が変わらないために

役員の任期は、短すぎると引継ぎの負担が増え、長すぎるとなり手が減ります。NPO法人の役員の任期は、2年以内で、定款で定める期間とされ、再任を妨げません(NPO法24条1項)。定款で役員を社員総会で選任することとしている法人は、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、任期の末日後最初の社員総会が終結するまで任期を伸長できます(同条2項)。この伸長の定めがないと、任期が切れた状態で、役員が不在になる期間が生じるため、定款に置く法人があります。

認可地縁団体には、任期に関する条文がありません。規約で任期を定めます。法人格のない会も、会則で定めます。実務では、1年から2年、再任は妨げないとする書き方が多く、副会長が翌年に会長になる形で引継ぎを滑らかにする会もあります。

役員の欠員・変更に関する条文の早見(現行の規定)

  • NPO法22条理事または監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない
  • NPO法23条役員の氏名または住所・居所に変更があったときは、遅滞なく、変更後の役員名簿を添えて所轄庁に届け出る
  • NPO法17条の3理事が欠けた場合に業務の遅滞で損害のおそれがあるときは、所轄庁が仮理事を選任する
  • 地方自治法260条の9代表者が欠けた場合に事務の遅滞で損害のおそれがあるときは、裁判所が仮代表者を選任する

辞任についても、押さえておく点があります。委任は、各当事者がいつでも解除でき、相手方に不利な時期の解除は、やむを得ない事由があるときを除いて、損害賠償の責任が生じます(民法651条)。役員と会の関係に委任の考え方が当てはまると考えると、役員は原則としていつでも辞任できますが、後任が決まらないまま急に辞めると、会の運営に支障が出て、問題になり得ます。会則に「辞任は、会長(または役員会)に書面で申し出る。後任が就任するまでの間、辞任した役員は、引継ぎのために必要な範囲で職務を行う」と書いておくと、運営が止まりません。ここでも、辞任の申し出の方法と、効力の発生日を書いておくのがコツです。

役員交代の手順(一般的な例)

  1. 後任の選任総会で後任の役員を選任し、議事録に氏名・役職・任期を記録する。
  2. 引継ぎ書の作成現金・通帳・印鑑・帳簿・名簿・鍵・契約書類・連絡手段のアカウントを一覧にして、前任者と後任者が確認する。
  3. 名義の変更会の口座や契約の名義人(代表者の肩書)を、後任者に変更する。法人では、役員の変更の届出も行う(NPO法23条)。
  4. 周知会員、取引先、使用している施設などに、役員の交代を知らせる。
  5. 引継ぎ後の確認一定期間(1か月から3か月程度)、前任者が相談に応じられる体制を決めておく。

引継ぎの具体的な項目は会の解散・合併・役員交代時の引継ぎで整理しています。

欠格事由・親族の制限・利益相反・報酬

NPO法人の役員には、法律で定められた資格の制限があります。会則や定款を作るときに、見落としやすい点です。

  • 欠格事由:破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者、特定の罪で罰金の刑に処せられて2年を経過しない者、暴力団の構成員等などは、役員になることができません(NPO法20条)。
  • 親族等の人数の制限:役員のうちに、それぞれの役員について、その配偶者または3親等以内の親族が1人を超えて含まれ、または、その役員とその配偶者および3親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えて含まれることになってはなりません(NPO法21条)。夫婦や親子で役員を固めると、この制限に反するおそれがあります。
  • 報酬を受ける役員の数:NPO法人は、役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であることが要件です(NPO法2条2項1号ロ)。
  • 監事の兼職禁止:監事は、理事または法人の職員を兼ねてはなりません(NPO法19条)。

利益相反とは、会の利益と役員個人の利益がぶつかる場面です。典型的な例は、役員が経営する会社に会の工事や物品の購入を発注する、役員個人が会からお金を借りる、役員の親族に仕事を依頼する、といったものです。認可地縁団体と代表者との利益が相反する事項については、代表者は代表権を有せず、裁判所が利害関係人または検察官の請求により特別代理人を選任します(地方自治法260条の10)。NPO法人も、法人と理事との利益が相反する事項については、理事は代表権を有せず、所轄庁が特別代理人を選任します(NPO法17条の4)。法人格のない会でも、民法108条の考え方(代理人と本人との利益が相反する行為は、代理権のない者の行為とみなされる)が参考になります。

会則では、利益相反の場面で、その役員を議決から外すことを書いておくと実用的です。団体と特定の構成員との関係について議決をする場合は、その構成員は表決権を有しないとされています(地方自治法260条の19、NPO法14条の8)。役員が関係する取引は、事前に総会または役員会に事実を開示し、その役員を除いて承認を得る、という手順を決めておきます。

報酬についても書いておきます。民法では、委任の受任者は、特約がなければ、委任者に報酬を請求できません(民法648条1項)。法人格のない会の役員に報酬を出すかどうかは会則で決め、出さない場合は、実際に使った費用(交通費、郵送料など)を、請求により会が負担する(民法650条1項の考え方)と書いておくと、役員が自腹を切る場面が減ります。報酬を支給する場合の額は、総会の決議で決めます。なお、役員の報酬に関する労務上の扱いは、このサイトでは扱いません。

役員の責任の見通し:会に対して、第三者に対して、団体として

役員の責任は、三つの方向に分けて考えると整理できます。

役員の責任の方向と根拠(一般的な整理)

方向主な根拠見通し
会に対して民法644条(善良な管理者の注意義務)、645条(報告)、646条(受け取ったものの引渡し)、647条(金銭の消費)、415条役員と会の関係に委任の考え方が当てはまるとすると、役員は善良な管理者の注意をもって職務を行い、求めに応じて報告し、受け取った金銭は会に引き渡す義務を負う。義務に違反し、会に損害が生じれば、賠償責任が問題になる。
第三者に対して民法709条(故意または過失による不法行為)役員が、故意または過失によって他人の権利を侵害した場合は、役員個人が賠償責任を負い得る。役員であること自体が理由ではなく、自分の行為が理由になる。
団体として地方自治法260条の2第15項、NPO法8条(いずれも一般社団法人法78条の準用)認可地縁団体とNPO法人は、代表者(理事)がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。役員が法人に対して負う責任は、民法の一般的な規定で判断される。法人格のない会は、契約の名義や会則によって説明が変わる。

ここから言えるのは、まず、役員の責任の中心は「自分が何をしたか」と「やるべきことをやったか」だということです。善良な管理者の注意とは、その立場にある人に通常期待される程度の注意のことで、役員だからといって、会のすべての事柄の結果に責任を負うという意味ではありません。会計係が帳簿をつけ、通帳と印鑑を分けて保管し、会長が定期的に出納を確認し、監事が監査をして総会に報告する、という体制を整えておけば、「やるべきことをやっていた」ことを示す材料になります。

次に、団体としての責任です。認可地縁団体は、地方自治法260条の2第15項により、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条が準用されるため、代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害は、団体が賠償する責任を負います。その結果、第三者に対しては、団体が前面に出る形になります。NPO法人についても、NPO法8条により同じ一般社団法人法78条が準用され、同様の整理になります。法人格のない会の場合、団体が負う責任と、役員個人が負う責任の関係は、契約の名義、会則、実際の行為の内容によって異なると考えられます。会として行える対策は、会の名義で契約すること、決裁の基準を会則に書くこと、会の活動に関する賠償責任を保険などでまかなう方法を検討すること、記録を残すことです。行事中の事故の責任は行事・活動中の事故と責任で整理しています。

会則に「役員は、故意または重大な過失がある場合を除き、会に対して責任を負わない」と書く会もあります。この定めが有効に働くのは、基本的に会と役員の間に限られ、会員以外の第三者には及びません。また、会員との関係でも、故意または重大な過失による行為まで免除する書き方は、問題にされる可能性があります(民法90条)。会則の定めがあれば安心、と考えず、体制を整えて記録を残すほうが現実的です。

よくある疑問と回答役員の責任に関するよくある疑問と回答

  1. 会長になったら、会で起きたことの全部に個人で責任を負うのですか。

    役員であること自体が理由で、自動的に全責任を負うわけではありません。会に対しては、善良な管理者の注意をもって職務を行ったか、第三者に対しては、自分の行為に過失があったか、が問題になります。体制を整え、記録を残しておくことが大切です。

  2. 会計を一人に任せているのですが、お金が合わなくなったら会計だけの責任ですか。

    会計が自分で使い込んだ場合は、会計の責任が中心になります。一方、通帳と印鑑を分ける、出納を確認する、監査を受けるといった体制が会則にあり、会長や監事がそれを怠った場合は、監督の責任が問題になる可能性があります。体制を決めておくこと自体が、役員を守ります。

  3. 名義を会長個人にしておけば、手続は簡単ではないですか。

    手続は簡単でも、会の財産と個人の財産が混ざり、交代のときに名義の変更が必要になります。会長が亡くなったり、会と対立したりしたときに、会のお金を取り戻す根拠も弱くなります。会の名義で作るのが原則です。

なり手がいない会の工夫:輪番制と負担の分け方

役員のなり手がいない会では、輪番制(班や地区の順番で役員を出す制度)が使われます。輪番制は、負担を公平に分ける利点がありますが、「やりたくない人が義務のように引き受ける」という性質もあります。輪番制を会則に書くときは、次の点を決めておきます。

  • 対象と免除:誰が輪番の対象で、どのような事情(高齢、病気、介護、育児、遠方への転居など)があれば免除または延期できるか。免除の基準が曖昧だと、不公平感が出る。
  • 選任の手続:輪番で決まった人を、総会で選任する手続を残す。総会の承認がないと、役員としての正当性が疑われる。
  • 辞退したとき:役員を辞退した場合の扱い(代わりの人を出す、負担金を出す、次の年に回す)。「辞退者に金銭の負担を求める」場合は、会則の根拠と総会の決議が必要で、特に慎重に検討する。
  • 役割の分割:会長に責任が集中しないように、会計、書記、行事、広報などの役割を分け、複数の役員が分担する。
  • 負担の軽減:総会の書面決議や電磁的方法の活用、連絡のデジタル化、マニュアルの整備で、初めて引き受ける人の不安を減らす。

認可を受けた自治会では、構成員に不当な差別的取扱いをしてはならないとされています(地方自治法260条の2第8項)。役員の輪番から特定の人だけを外したり、特定の人にだけ重い負担を求めたりしないよう、基準を会則に書いて、全員に同じように適用することが大切です。

起きがちなことと、確認の問い

起きがちなこと

  • 会長の権限と決裁の基準が書かれておらず、高額の契約を会長一人で決めて、後から会員に問題にされる。
  • 会計が通帳と印鑑を一人で保管し、交代のときに帳簿と現金が合わないことが判明する。
  • 会長の個人名義で口座や契約を作っており、会長の交代や死亡のときに、会のお金の扱いで揉める。
  • NPO法人で、夫婦や親子を役員に入れすぎて、親族等の人数の制限に反する構成になる。
  • 任期が切れた後も後任が決まらず、役員が不在のまま運営が続く。
  • 輪番制で選ばれた人が、総会の承認を経ないまま役員として活動している。
  • 役員が経営する会社に会の工事を発注し、他の会員への説明がなく、不信感が広がる。

確認の問いと理由役員の会則を作る・見直す前の確認

  1. 役員の種類、数、役割は、役職名ではなく役割で書いてあるか。

    名前が変わっても、運営が揺らがないようにするため。

  2. 会長に任せる範囲と、承認が要る金額の基準は書いてあるか。

    基準を超えた契約を、後から点検できるようにするため。

  3. 任期、再任、辞任、後任が決まらないときの扱いは書いてあるか。

    役員が不在の期間をなくすため(NPO法22条・24条)。

  4. 役員の資格(欠格事由、親族の人数、報酬の人数)を確かめたか。

    NPO法人では、法律で決まっているため(NPO法2条2項・20条・21条)。

  5. 役員が関係する取引について、開示と承認の手順は決まっているか。

    利益相反を防ぎ、役員を守るため(地方自治法260条の10、NPO法17条の4)。

  6. 会の名義、通帳と印鑑の分け方、出納の確認の仕組みはあるか。

    役員が「やるべきことをやった」と示せる体制にするため。

役員が総会で選任・解任される手続は総会の開き方と議事録の作り方、役員の不正が疑われたときの整理は会則・総会・会費をめぐるトラブルとよくある質問にまとめています。

よくあるご質問

自治会の会長を引き受けたら、事故があったときは個人で賠償するのですか。

会長であること自体が理由で、自動的に個人の賠償責任を負うわけではありません。第三者に対しては、会長自身の行為に過失があって他人に損害を与えた場合は、不法行為として責任を問われ得ます(民法709条)。認可を受けた自治会であれば、代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害は、団体が賠償する責任を負います(地方自治法260条の2第15項による一般社団法人法78条の準用)。団体の責任と役員個人の責任の関係は個別の事情で異なります。会の名義で契約し、決裁の基準を会則に書き、記録を残すことが基本です。

NPO法人の役員は、最低何人必要ですか。

理事3人以上、監事1人以上を置かなければなりません(NPO法15条)。監事は、理事または法人の職員を兼ねることができません(同法19条)。また、役員のうちに、配偶者または3親等以内の親族が1人を超えて含まれ、または役員とその配偶者および3親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えて含まれることになってはなりません(同法21条)。報酬を受ける役員の数は、役員総数の3分の1以下である必要があります(同法2条2項1号ロ)。

役員の任期が切れましたが、後任が決まりません。どうすればよいですか。

NPO法人の場合、定款で役員を社員総会で選任することとしている法人は、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、任期の末日後最初の社員総会が終結するまで任期を伸長できます(NPO法24条2項)。この定めがあるかを、まず定款で確認します。役員の定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充する必要があります(同法22条)。法人格のない会や認可地縁団体は、規約・会則に、後任が就任するまで職務を行う旨を置いておくと、運営が止まりません。

会長が、会の名義ではなく自分の名前で契約してしまいました。問題がありますか。

契約の名義は、あとで誰が契約の当事者になるのか、お金や責任が誰に帰属するのかを説明する出発点になります。会長の個人名義で契約した場合、会の費用で支払っていても、契約上の当事者は会長個人になり得るため、会の財産と個人の財産が混ざる原因になります。会則に「会の名称と代表者の肩書で契約する」「口座は会の名義で開設する」と書き、既に個人名義になっているものは、総会の承認を得て会の名義に移す手続を取るのが整理しやすい方法です。

役員が経営する会社に、会の工事を頼んでもよいですか。

禁止されているわけではありませんが、利益相反の問題が生じます。認可地縁団体では、団体と代表者との利益が相反する事項について、代表者は代表権を有しません(地方自治法260条の10)。NPO法人でも、法人と理事との利益が相反する事項については、理事は代表権を有しません(NPO法17条の4)。実務では、事前にその事実を総会または役員会に開示し、その役員を除いた決議で承認を得て、相見積りを取るなど、価格の妥当性を示す材料も残しておくのが安全です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の団体への当てはめは、団体の種類(法人格の有無、認可の有無)や会則の定めによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、会則作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の団体や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 内閣府NPOポータルサイト / 個人情報保護委員会

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