会のお金の管理と会計の引継ぎ:分けて持ち、見える形で残す

会計係に任せきりの運営は、使途不明が出たときに本人の説明を信じるか疑うかの二択になります。通帳と印鑑の分離、承認、決算、監査、引継ぎの順に、会則へ書く方法を整理します。

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会のお金の事故は、悪意よりも一人に任せきりの運営から起きます。分けて持ち、記録を残し、第三者が確かめる仕組みを会則に書いておくことが、会計係自身を守ります。

このページの要点

  • 認可地縁団体は財産目録を認可時と毎年1月〜3月に作成し(地方自治法260条の4第1項)、NPO法人は会計の原則に従い事業報告書等を毎年作成して提出する(特定非営利活動促進法27条〜29条)。
  • 法人でない会には会計を定めた条文がないため、通帳と印鑑を別の人が持つ、支出を承認制にする、決算を監査する、の三つを会則と会計規程に書く。
  • 会計係は委任に近い関係として、善管注意・報告・受取金銭の引渡しの義務で整理できる場合がある(民法644条〜647条)。記録と監査が自分を守る。
  • 役員交代時は、現金・通帳・印鑑・帳簿・未精算の一覧を、前任と後任が立ち会って確認し、署名した引継ぎ書を会として保管する。

結論:お金の事故は「悪意」より「一人に任せきり」から起きる。分けて持ち、見える形で残す

会費、募金、行事の参加費、助成金や寄付金。会が預かるお金は、会員から集めた時点で、会計係個人のものではなく、会のものです。それにもかかわらず、通帳も印鑑も現金も一人の会計係の手元にあり、帳簿は本人にしか読めず、決算は総会で「異議なし」と拍手して終わる、という運営は珍しくありません。この状態が続くと、使途不明が出たときに、本人の説明を信じるか疑うかの二択しかなくなります。疑われた本人にとっても、疑った側にとっても、不幸な結果です。

会のお金を守る方法は、特別なものではありません。通帳と印鑑を別の人が持つ。支出は承認を受けてから行う。帳簿と領収書を残す。監事や会員が決算を確かめる。役員が代わるときは、残高と書類を二人で確認して引き継ぐ。この五つを会則と会計の運用ルールに書き、毎年同じ手順で回すだけで、事故の多くは防げます。この記事では、法律が団体の型ごとに求めていること(財産目録、会計の原則、監事の監査)と、法律に書かれていない部分を会則でどう埋めるかを、順に整理します。

先に結論を一覧にします

  • 認可地縁団体は、認可を受けるときと毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、主たる事務所に備え置きます(地方自治法260条の4第1項)。特に事業年度を設ける団体は、認可を受けるときと毎事業年度の終了の時に作成します。
  • NPO法人は、成立の時に財産目録を作成して事務所に備え置くほか(特定非営利活動促進法14条)、会計の原則に従い(同法27条)、毎事業年度初めの3か月以内に事業報告書等を作成して備え置き、所轄庁に提出します(同法28条・29条)。
  • 法人でない同好会やサークルには、会計や財産目録を法律で作らせる条文はありません。だからこそ、会則と会計規程で、帳簿・決算・監査の最低限を自分たちで決めておく必要があります。
  • 通帳と印鑑は別の人が持つ。現金は最小限にする。支出は金額に応じた承認の段階を決める。この三つが、使い込みと誤りの両方を減らします。
  • 会計係が預かっているお金は、委任された事務の処理の中で受け取った金銭として、報告と引渡しの義務の対象と整理できる場合があります(民法645条・646条)。自分のために消費したときは利息と損害賠償の問題になります(同法647条)。

なお、お金にまつわる税の取扱いは、このガイドでは扱いません。ここでは、会の中の決めごと(誰が持ち、誰が確かめ、どう引き継ぐか)に絞ります。役員の責任の全体像は役員の選任・任期・責任のページ、会費の決め方は会費・寄付・臨時徴収のページで整理しています。

団体の型ごとに、法律が求める「お金の書類」は違う

法人でない同好会、認可を受けた自治会、NPO法人では、会計に関する法律上の義務が違います。まずはどの型の会なのかを確かめ、法律が求めている書類を、会則の定めと対応させます。

型ごとに比べる:会計・財産に関する法律の定め

任意の同好会・サークル・PTA

団体法上の義務なし。会則と会計規程で決める

  • 帳簿・決算・財産目録を作らせる条文はない
  • 会計係の責任は、会との関係(委任に近い関係)を前提に、民法の規定で整理される
  • 決算の承認・監査の方法は会則で決める

認可地縁団体

地方自治法260条の4・260条の12

  • 財産目録を、認可時と毎年1月〜3月に作成し、主たる事務所に備置き
  • 監事は規約または総会の決議で置くことができる(任意)
  • 監事を置く場合の職務は、財産の状況と代表者の業務執行の監査、総会への報告、必要時の総会招集

NPO法人

特定非営利活動促進法14条・18条・27条〜30条

  • 成立時の財産目録の備置き(14条)
  • 正規の簿記の原則、計算書類・財産目録の真実性、会計処理の継続適用(27条)
  • 事業報告書等の作成・備置き・閲覧・所轄庁への提出(28条・29条)
  • 監事1人以上が必須(15条)で、財産状況を監査(18条)

NPO法人は、3年以上にわたって事業報告書等を提出しないと、設立の認証が取り消されることがあります(43条1項)。決算の書類は「作って終わり」ではなく、毎年の提出まで含めて運営の義務です。

認可地縁団体の財産目録は、区域内の住民が出し合った会費や地域の資産を、団体の名義の財産として明らかにするための書類です。不動産などの資産を持つ団体では特に、誰の名義で何を持っているかを毎年確かめる意味があります。財産目録に何を載せるかの様式は、市区町村の案内などで確認します。

NPO法人の会計の原則は、条文が具体的です。会計簿は正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること、計算書類(活動計算書と貸借対照表)と財産目録は会計簿に基づいて活動に係る事業の実績と財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること、採用する会計処理の基準と手続は毎事業年度継続して適用し、みだりに変更しないこと(27条2号〜4号)。小さな会が最初から複式簿記を導入する必要はありませんが、NPO法人を目指すなら、出納の記録を後から計算書類に組み替えられる形で残しておくと移行が楽になります。

通帳・印鑑・現金・領収書:持つ人を分け、承認の段階を決める

お金の管理で最も効果が大きいのは、権限を分けることです。一人の人が、お金を受け取り、記録し、使い、確認する、という流れを全部握っていると、善意の誤りも、そうでない不正も、他の人が気づく機会がありません。次の表は、小さな会でも実行しやすい役割の分け方の一例です。

役割の分け方の一例(会の規模に合わせて兼務の範囲を調整)

役割やること持たないもの
出納担当会費・参加費の受領、現金の保管、出金の実行、現金出納帳と領収書綴りの記帳通帳と届出印の両方(どちらか一方は別の人)
通帳保管者通帳またはキャッシュカード、届出印の保管。残高と出入金の月次の確認現金の取扱い
承認者(会長または副会長)一定額を超える支出の事前承認、立替精算の承認自分が受益者となる支出の承認(利益が相反する場合は別の役員が承認する)
監事(会計監査)帳簿・領収書・通帳の突合せ、決算の確認、総会への報告日常の出納

通帳と印鑑を別々の人が持つ運用は、役員の人数が少ない会では難しく感じられるかもしれません。その場合も、「通帳の記帳は出納担当以外の人が月に一度確認し、残高を記録する」だけで、チェックの機能は大きく上がります。現金は、行事当日の釣り銭や少額の立替を除き、できるだけ口座に入れておきます。現金の受領時には、2人で金額を数えて、記録に2人の名前を残します。

口座の名義も重要です。会の名前の口座を開けるかどうかは金融機関の取扱いによって異なり、法律が一律に決めているわけではありません。代表者個人の名義で口座を開いている場合は、会のお金が代表者の個人財産と区別しにくくなります。役員が交代するたびに名義変更の手続が必要になること、名義人が亡くなったり連絡が取れなくなったりすると払戻しが難しくなることも、あらかじめ想定しておきます。口座を開く前に、金融機関に必要な書類や条件を確認し、会則で口座の名義と管理者を定めておくとよいでしょう。

会則の例会計(口座・出納・承認・決算)

  1. 本会の会計年度は、毎年○月○日に始まり、翌年○月○日に終わる。
  2. 本会の預金口座は、本会の名称を冠した名義で開設する。口座を開設できないときは、会長の指名する役員の名義とし、名義人は本会のために管理するものであることを会計規程に明記する。
  3. 預金通帳と届出印は、別の役員が保管する。同一の役員が両方を保管してはならない。
  4. 会計担当は、現金出納帳を備え、収入と支出のすべてを記録し、領収書または支払の証拠書類を添えて保管する。
  5. 一件○円以上の支出は、事前に会長または会が指名した役員の承認を得る。会長自身に関係する支出は、副会長が承認する。
  6. 会計担当は、会計年度の終了後○か月以内に、収支決算書と財産の一覧を作成し、監事の監査を受けたうえで、総会に報告して承認を受ける。
  7. 監事は、帳簿・領収書・通帳を照合し、結果を総会に報告する。不正または著しく不当な事項を発見したときは、遅滞なく会長に報告し、必要があるときは臨時総会の招集を求めることができる。
  8. 帳簿・領収書・通帳は、決算の承認の日から○年間保存する。

金額と期間は、会の予算規模に合わせて「○円」「○年」と決めます。承認が必要な支出の下限額は、日常の少額の支払まで縛らない水準にすると、運用が続きます。

決算・監査・総会での承認:「見える化」の最低限

お金が正しく使われたことは、記録を残し、第三者が確かめて、会員に報告することで初めて担保されます。法人でない会の場合、この流れは法律の義務ではありませんが、会則に書くことで会員との約束にできます。認可地縁団体とNPO法人の監事の職務を条文で見ると、会則に書くべき監査の内容が見えてきます。

条文の早見:監事の職務(現行の規定)

  • 地方自治法260条の12認可地縁団体の監事の職務は、財産の状況の監査、代表者の業務の執行の状況の監査、法令・規約違反や著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告、その報告のため必要があるときの総会の招集
  • 地方自治法260条の11認可地縁団体には、規約または総会の決議で、1人または数人の監事を置くことができる
  • 特定非営利活動促進法18条監事は、理事の業務執行の状況の監査、財産の状況の監査、不正行為や重大な法令・定款違反を発見した場合の社員総会または所轄庁への報告、報告のための社員総会の招集、理事への意見の陳述を行う
  • 特定非営利活動促進法19条監事は、理事または法人の職員を兼ねてはならない

監事が理事を兼ねてはいけない(NPO法19条)という考え方は、法人でない会の会計監査にも参考になります。自分の出納を自分で監査することになると、監査の意味がなくなるためです。

年間の会計の流れの一例

  1. 年度初め:予算を総会で決める前年度の実績をもとに収入と支出の見込みを作り、総会で承認を受ける。承認を受けた予算の範囲内で、日常の支出は役員が行う。
  2. 年度中:毎月、記帳と残高の確認をする出納担当は現金出納帳を記帳し、通帳保管者は通帳の残高を月に一度確認して、出納帳の残高と一致するかを記録する。
  3. 年度末:決算書を作る収入と支出の内訳、年度末の残高、会が持つ財産(預金、備品、貸付金や預り金があればその額)を一覧にする。
  4. 監査:監事が帳簿・領収書・通帳を突き合わせる一定の件数を抜き出して確認するだけでなく、通帳の出入金のすべてについて、帳簿に対応する記載があるかを見る。
  5. 総会:決算と監査結果を報告し、承認を受ける決算書、監査報告、財産の一覧を配布して説明する。議事録に、承認の結果と、質疑があった場合はその要旨を残す。
  6. 保管:書類を保存する決算書、帳簿、領収書、通帳を会則で定めた期間保存する。保管場所と管理者を決め、役員交代時に引き継ぐ。

総会の招集通知に決算の承認を議題として記載することも大切です。招集の通知に記載しなかった事項は、規約に別段の定めがない限り、決議できません(地方自治法260条の17。認可地縁団体の場合)。手順は総会の開き方と議事録のページで扱います。

監事を置けない小さな会では、会員のうち会計と無関係の人に、決算の確認役を頼む方法もあります。大切なのは、役職名ではなく、出納を担当した人とは別の人が、帳簿と通帳を突き合わせて確かめた記録を残すことです。その確認の記録を、総会の資料に添えて配布すると、会員が内容を確認する機会にもなります。

会計係の責任:民法の規定と、使途不明のときの見通し

会計係は、役員として選ばれた時点で、会の事務を処理する立場にあります。会と役員の関係は、一般に委任(または委任に近い関係)として整理され、受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。委任者の請求があるときはいつでも事務処理の状況を報告し、委任が終了した後は遅滞なくその経過と結果を報告する義務があり(同法645条)、事務の処理にあたって受け取った金銭その他の物は委任者に引き渡さなければなりません(同法646条)。引き渡すべき金額や、委任者の利益のために用いるべき金額を自分のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払い、なお損害があるときはその賠償の責任を負います(同法647条)。

ここで押さえておきたいのは、会計係に求められている注意の水準と、それを果たすための記録です。使途不明が出た場合に、帳簿と領収書が残っていれば、使われ方を説明できます。記録がなければ、本人に悪意がなくても、説明できないこと自体が問題として残ります。逆にいえば、記録を残し、承認の記録を残し、監査を受けることが、会計係自身を守る方法です。

私的に流用した場合は、民事上の損害賠償責任(民法709条など)に加えて、刑事責任の問題にもなり得ます。他人の物を占有する者がそれを横領した場合は5年以下の拘禁刑(刑法252条)、業務として占有する他人の物を横領した場合は10年以下の拘禁刑(同法253条)と定められています。ただし、これらの条文に当たるかどうかは、お金が誰のものか、どのような立場で預かっていたかなど、個別の事実で判断されるため、会則の上では「疑いが生じた場合の手続」(総会への報告、帳簿の開示、監査)を先に決めておくことが現実的です。疑いが生じたときの進め方は、トラブルのページで整理します。

書き方の例(一般的な例) 会計の責任に関する条項

会計係の権限

よくある書き方会計は会計係が管理する。
整えた書き方会計係は、会計規程に従って出納を行い、帳簿を備える。一定額を超える支出は、事前に承認を得る。会長は会計係の出納を、監事は帳簿の記載を、それぞれ確認する。

理由「管理する」だけでは、誰が何を確認するのかが見えません。権限と確認者をセットで書きます。

不正が疑われたとき

よくある書き方(定めなし)
整えた書き方会員は、会計に不正または著しく不当な事項があると疑う相当の理由があるときは、監事または会長に対し、帳簿の閲覧を請求することができる。請求を受けた者は、遅滞なく閲覧させ、必要があれば臨時総会で報告する。

理由疑いの段階で見せる仕組みがないと、噂が先に広がります。閲覧の請求と総会への報告を、手続として書いておきます。

立替払い

よくある書き方立替金は後日精算する。
整えた書き方役員が会の用務のために費用を立て替えたときは、領収書を添えて、支払の後○日以内に精算を請求する。承認を受けていない支出は、会長が必要性を認めたものに限り精算する。

理由精算の期限と承認の条件がないと、年度をまたいで未精算が残り、決算が曖昧になります。

役員交代と会計の引継ぎ:確認する項目と順序

会計の事故が多いのは、役員の交代の場面です。前任者が帳簿を整理しないまま辞めてしまう、後任が何を受け取ったのか分からない、途中で名義が変わった口座の扱いが曖昧になる、といった事態が起こりがちです。引継ぎは「受け取った」という事実を、残高と書類で確認して、双方が記録に残すことが基本です。会全体の引継ぎ(鍵、名簿、アカウント、契約書類)は解散・引継ぎのページで扱い、ここでは会計に限った引継ぎの項目を整理します。

確認リスト:会計の引継ぎ(前任と後任の双方が立ち会う)

  • 現金の残高を、前任と後任の双方で数え、金額を記録して双方が署名する。
  • 通帳の残高を、記帳した直近の通帳で確かめ、現金出納帳の残高と一致することを確認する。
  • 通帳、キャッシュカード、届出印を、一覧にして引き継ぐ。口座の名義が前任者個人になっているときは、名義変更の手続を後任が行うまでの管理者を決める。
  • 帳簿、領収書綴り、過去の決算書、総会の議事録(決算承認の分)を、一括して後任に渡す。
  • 未精算の立替金、未収の会費、預り金(行事の参加費、預けられた寄付や募金など)がないかを確認し、一覧にする。
  • 継続している契約(会場の使用、物品のリース、保険など)と、その支払期限を一覧にする。
  • 引継ぎ書を2通作り、前任と後任が署名して、1通は会として保管する。会計の引継ぎの結果を、次の役員会または総会に報告する。

前任者に不明な点があるときも、引継ぎの場で解決するのが基本です。後で問題が出ると、前任者と後任のどちらが責任を負うのかが曖昧になります。通帳や帳簿の記録から説明のつかない出入りが見つかったときは、その場で黙らず、監事を交えて確認します。引継ぎの書面に「引き継いだ時点の残高は○円であり、引継ぎの時点で判明している未精算は別紙のとおり」と書いておけば、後で争いになったときの出発点がはっきりします。

引継ぎは、帳簿の整理が済んでいることが前提です。年度の途中で交代する場合は、その時点で臨時の決算(残高の確認と収支の整理)を行い、監事が確認します。年度末の交代なら、決算の承認と同じ総会で、新旧の会計担当が立ち会うのが通常です。

お金の集め方と預かり金:会費・募金・行事の参加費を混ぜない

会の口座に会費、募金、行事の参加費、助成の入金が混ざっていると、目的ごとの残高が分からなくなります。特に、地区の費用や共益費、他の団体へ渡す募金を、会費と一緒に集めて渡す場合は、会のお金ではなく「預り金」にあたります。預り金は、集めた目的のために使い、集めた分は渡す先に渡す、という前提で、帳簿上も分けて記録します。民法646条が定める「受け取った金銭は引き渡す」という考え方に近く、預かった本人が自由に流用できるお金ではありません。

このため、帳簿の科目を分けることが基本です。会費の収入、行事の参加費、募金などの預り金、助成金や補助金、寄付金。科目ごとに、収入と支出を記録し、年度末の残高も科目別に出します。会費の決め方や、募金・共益費の集め方は会費・寄付・臨時徴収のページで整理しています。目的が決まったお金を別の目的に使った場合は、会員への説明と総会の承認を得る手続を会則に書いておくと、後から争いになりにくくなります。

確認の問いと理由お金の管理を見直すときに確かめる問い

  1. 通帳と印鑑を、同じ人が持っていないか

    一人が両方を持つと、他の人が気づかないまま出金できます。持つ人を分けるだけで、事故の機会が大きく減ります。

  2. 一年に一度、出納担当ではない人が帳簿と通帳を突き合わせているか

    帳簿と通帳が合っていることを第三者が確かめた記録がなければ、決算が正しいという根拠がありません。

  3. 会のお金が、個人名義の口座に入っていないか

    個人の財産と区別しにくく、名義人に何かあったときに会が資金を使えなくなるおそれがあります。

  4. 会費と、預かり金(募金・共益費・参加費)が帳簿上で分かれているか

    預り金は目的が決まったお金です。混ざっていると、目的外の使用や、返すべきお金の不足に気づけません。

  5. 引継ぎの方法が、会則または会計規程に書かれているか

    交代のたびに運用が変わると、会計の継続性が失われ、前任・後任のどちらの責任か曖昧になります。

起きがちなこと:会計をめぐる場面別の落とし穴

起きがちなこと

  • 会計係が長年、同じ人。慣れた人に任せきりになり、帳簿の形式も本人にしか分からない。数年ごとの交代と、帳簿の様式の統一を会則に書く。
  • 決算が「報告のみ」で、承認の議決がない。総会の議題に「決算の承認」がなく、後で決算の有効性を確かめる材料がない。議案として上程し、議事録に結果を残す。
  • 領収書が残っていない。現金払いで領収書を取らず、使途を後から説明できない。領収書が出ない支出は、支払先・金額・日付・目的を記した支払証明を会計担当が作る。
  • 役員が自分の関係する支出を自分で承認する。会長の関係する業者への発注を、会長が承認する。利益が相反する場合は、他の役員が承認する決まりにする(認可地縁団体では、利益が相反する事項について代表者は代表権を有しない。地方自治法260条の10)。
  • 募金や共益費を、会費と同じ口座で管理する。どこまでが会のお金か分からなくなる。科目を分け、預り金は目的外に使わない。
  • 口座の名義が前任者個人のまま。名義変更をしないまま数年が経ち、前任者と連絡が取れなくなって払戻しができない。交代の際には名義と管理者を整理しておく。
  • NPO法人なのに、事業報告書等を所轄庁に提出していない。3年以上提出しないと認証の取消しの対象になる(特定非営利活動促進法43条1項)。決算の総会から提出までの日程を、年間の予定表に入れる。

お金の管理は、「誰かを疑うための仕組み」ではなく、「誰も疑われないための仕組み」です。会則に会計の章を置き、会計規程の細目を総会で承認しておけば、役員が代わっても同じ運用が続きます。会則全体の中で会計の章をどこに置くかは会則・規約・定款の違いと作り方のページで整理しています。

よくあるご質問

任意の同好会でも、会計の帳簿は作らなければなりませんか。

法人でない同好会やサークルについて、帳簿や決算を作らせる団体法上の条文はありません。ただし、会員から預かったお金を管理する立場にあるため、民法上は、預かった金銭の報告と引渡しの義務(645条・646条)の対象として整理できる場面があります。帳簿と領収書を残し、年に一度決算を会員に報告する運用を、会則で決めておくことをおすすめします。

通帳と印鑑は、必ず別々の人が持たなければいけませんか。

法律で決まった義務ではありませんが、不正と誤りの両方を防ぐ基本的な方法です。役員が少なく分けられない場合は、通帳の残高を出納担当以外の人が毎月確認して記録する、一定額を超える出金は2人の承認を要するようにする、といった代わりの工夫で補います。

認可を受けた自治会は、財産目録を毎年作らなければなりませんか。

認可地縁団体は、認可を受けるときと、毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、主たる事務所に常に備え置かなければなりません。特に事業年度を設ける団体は、認可を受けるときと毎事業年度の終了の時に作成します(地方自治法260条の4第1項)。作成しない場合の対応や様式は、市区町村の案内で確認が必要です。

監事を置かない会の決算は、誰が確認すればよいですか。

認可地縁団体の監事は、規約または総会の決議で置くことができる任意の機関です(地方自治法260条の11)。NPO法人は監事1人以上を置かなければなりません(特定非営利活動促進法15条)。法人でない会は、会則で会計監査の役を決めます。出納を担当した人とは別の人が、帳簿・領収書・通帳を突き合わせ、結果を総会に報告する形にします。

会計係がお金を使い込んだと分かったら、どうすればよいですか。

まず帳簿・領収書・通帳を確保して、事実関係を確認します。会則に手続があれば、それに従って総会に報告します。私的な流用であれば、民法上の損害賠償責任や、刑法の横領罪(252条・253条)が問題になり得ますが、これらに当たるかは個別の事実によります。感情的な追及を避け、会として何をいつ決めるかを手順にそって進めることが大切です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の団体への当てはめは、団体の種類(法人格の有無、認可の有無)や会則の定めによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、会則作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の団体や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 内閣府NPOポータルサイト / 個人情報保護委員会

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