会則・総会・会費をめぐるトラブルとよくある質問

運営の困りごとは、会則に定めがあるか、総会の手続を踏んだか、記録が残っているかの三つで整理できます。他のページの論点を横断し、会の中でできる対応と、できない領域の見通しを示します。

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トラブルが起きてから対処するより、会則と記録で起きにくくするほうが効果的です。自分の会に欠けているものから順に整えます。

このページの要点

  • 困りごとが起きたら、会則の該当条文、総会の議事録、帳簿・名簿の記録の三つを最初に確かめる。
  • 総会の決議は、招集の通知、通知した議題、決議の要件、議事録の記載の四点で有効性を確かめる材料を整える。
  • 会計の疑いは、記録の確保、突合せ、総会への報告の順に進める。NPO法人には所轄庁の報告・検査・改善命令の制度がある(特定非営利活動促進法41条〜43条)。
  • 会則がない会は、型の確認、現状の書き出し、最小限の案、総会での承認の順で立て直す。名簿流出は、拡大の防止、事実の確認、報告、本人への連絡、再発防止の順に動く。

結論:トラブルの多くは「会則・総会決議・記録」のどこが欠けているかで整理できる

退会したいのに認めてもらえない。会費を払わない人がいる。総会の決議に納得できない会員が出た。会計に不審な点があると言い出す人がいる。会則が見つからない、あっても古い。役員のなり手がいない。名簿を誤って送ってしまった。会の運営で起きる困りごとは、一見ばらばらですが、「会則に定めがあるか」「総会の手続を踏んだか」「記録が残っているか」という三つの軸で見ると、どこまで会の中で解決でき、何が足りないのかが整理できます。

このページは、他のページで扱った論点を横断して、実際に困りごとが起きたときの見方をまとめたものです。個別の論点の詳しい条文と書き方は、それぞれのページに戻って確認してください。ここでは、会の運営の相談で最初に確かめるべき順序と、会則と総会決議だけでは対処できない領域の見通しを示します。誰かと争うための手順や、代理で交渉する方法は扱いません。

先に結論を一覧にします

  • 困りごとが起きたら、まず会則の該当条文、総会の議事録、帳簿・名簿などの記録の三つを確かめます。何が書いてあり、何が書いていないかが分かれば、会の中でできる対応が決まります。
  • 退会や会費の問題は、団体の型で整理が変わります。民法上の組合なら脱退の規定(民法678条〜681条)があり、認可地縁団体は区域内の個人の加入を拒めません(地方自治法260条の2第7項)。NPO法人は社員の資格の得喪を定款に書きます(特定非営利活動促進法11条1項5号)。
  • 総会の決議の有効性は、招集の通知、決議の要件、議事録の三点で確かめます。通知した事項以外は決議できないという定めがある型もあります(地方自治法260条の17)。
  • 会計の不正が疑われるときは、帳簿の確認、監事による確認、総会への報告の順に進めます。NPO法人には、所轄庁の報告・検査・改善命令の制度があります(特定非営利活動促進法41条〜43条)。
  • 会則がない会は、現状の運営の聞き取り、最小限の会則案、総会での承認の順で立て直します。個人情報の流出が起きたときは、拡大の防止、事実の確認、本人への連絡の順に動きます。

困りごとの横断マップ:最初に確かめるものと、詳しいページ

困りごと最初に確かめるもの詳しいページ
会の法的な位置づけが分からない法人格の有無、認可の有無、会則の代表者の定め同好会・サークル・PTAの法的な位置づけ
入会・退会・除名で揉めた会員資格と退会・除名の条文、手続の記録入会・退会・除名の書き方
会費の滞納・値上げに反発が出た会費の根拠条文、総会の決議、督促の記録会費・寄付・臨時徴収の決め方
総会の決議に異議が出た招集通知、出席・委任状の数、議事録総会の開き方と議事録
役員のなり手がいない、責任が不安役員の定数・任期の定め、代表権の範囲役員の選任・任期・責任
名簿・写真・連絡網で苦情が出た入会届の利用目的、同意の記録会員名簿・連絡網・写真の扱い
会計に不審な点がある帳簿・領収書・通帳、決算の承認の記録会のお金の管理と引継ぎ
行事でけがが出た参加同意書、点検の記録、保険の内容行事・活動中の事故と責任
会をやめたい、役員が代わる解散の条文、残余財産の定め、引継ぎ書解散・合併・引継ぎ

「退会させてもらえない」「脱会して会費を払わない」:型ごとの見通し

会員が退会を申し出たのに、役員が「今は辞められない」と受け付けない。逆に、会員が一方的に活動をやめて会費を払わなくなる。どちらも、会則に退会の方法と時期、退会後の未納会費の扱いが書かれていないときに起きやすい対立です。

民法上の組合と評価される会では、組合契約で存続期間を定めなかったときなどは、各組合員はいつでも脱退でき、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することはできません(民法678条1項)。存続期間を定めた場合でも、やむを得ない事由があるときは脱退できます(同条2項)。脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従って行い、持分は金銭で払い戻すことができます(同法681条)。

法人でない社団として運営されている会、認可地縁団体、NPO法人については、このページで取り上げた条文のうち、退会の自由と退会後の精算を直接定めたものは、民法の組合の規定(脱退)にとどまります。そのため、会則の定めが出発点になります。認可地縁団体は、区域内の住民が加入することを拒めませんが(地方自治法260条の2第7項)、退会の扱いは規約の「構成員の資格に関する事項」(同条3項5号)で決めます。NPO法人は、社員の資格の得喪に関する事項を定款に書き(特定非営利活動促進法11条1項5号)、資格の得喪に不当な条件を付けてはなりません(同法2条2項1号イ)。退会を認めない、極端に長い予告期間を課す、退会後も会費を請求し続ける、といった定めは、この観点から見直しの対象になります。

任意の団体への加入や退会の自由は、会則とその会の実態によって個別に判断されます。実務の考え方としては、退会届の方法、受付の日、未納会費の精算、貸与物の返却、名簿からの削除を、会則と退会届の様式に明確に書いておくことで、対立を避けやすくなります。

会則の例退会と未納会費

  1. 会員は、退会しようとするときは、退会届を会長に提出する。退会は、退会届が会長に到達した日の属する月の末日をもって効力を生じる。
  2. 会は、退会届の受理を拒むことができない。会は、退会届を受け付けたときは、受付の日を記載した控えを会員に交付する。
  3. 退会した会員は、退会の効力が生じた日までに生じた会費その他の債務を、退会後○日以内に精算する。
  4. 退会した会員が納付した会費は、返還しない。ただし、前納した会費のうち、退会後の期間に対応する分は、請求があったときに返還する。
  5. 会は、退会した会員の個人情報を、精算その他の手続が終わった後、○か月以内に削除する。

会費の不返還を定めるときは、前納分の扱いを例外として残すかを、会費のページ(会費・寄付・臨時徴収の決め方)の考え方とそろえて決めます。

会費を払わない会員への対応は、督促、資格の停止、除名という段階を会則に書いておくと運用が安定します。督促は書面で記録を残し、期限を示します。除名にいたる場合は、本人に弁明の機会を与え、総会などの会則で定めた機関で決める手順を踏みます。組合の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができ、除名した組合員にその旨を通知しなければ対抗できません(民法680条)。詳しくは入会・退会・除名のページと会費のページを確認してください。

総会の決議に不満が出たとき:有効性を確かめる三つの材料

総会の決議に反対した会員が、「あの決議は無効だ」と主張する。会が成立していたのか、委任状は有効だったのか、議事録の記載に誤りはないか。こうした場面で、会が最初に確かめるのは、決議の手続が会則と法律に沿っていたかです。確かめる材料は、次の三つです。

確認リスト:決議の有効性を確かめる三つの材料

  • 招集の通知:通知の日付と方法は会則に沿っていたか。通知の期限と記載事項は型によって法律に定めがあるため、総会の開き方と議事録のページで確かめる。
  • 通知した議題:決議した事項は、通知に記載された事項に含まれていたか。認可地縁団体では、通知をした事項についてのみ決議でき、規約に別段の定めがあればそれによる(同法260条の17)。
  • 決議の要件:出席者と委任状・書面表決の数を合わせて、成立に必要な数に達していたか。認可地縁団体では、各構成員の表決権は平等で、出席しない構成員は書面または代理人によって表決できる(同法260条の18)。規約変更や解散には、総構成員の4分の3以上などの重い要件がある(同法260条の3、260条の21)。
  • 利害関係のある議題:特定の構成員と団体の関係について議決するとき、その構成員は表決権を有しない(同法260条の19)。該当する議題で、本人が表決に加わっていなかったか。
  • 議事録の記載:日時、場所、出席者数と委任状の数、議長、議案ごとの結果、署名人が記録されているか。記載が欠けていても、他の記録で補えるものはないか。

NPO法人では、総会の招集、議決権、書面表決などの手続が、特定非営利活動促進法14条の2から14条の9までに定められています。定款の変更は、社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上の多数で議決する必要があります(同法25条2項。定款に特別の定めがあればそれによる)。具体的な手続は、総会の開き方と議事録のページとNPO法人の定款・会則・運営規程のページで扱っています。

法人でない同好会やサークルでは、総会の手続を定めた法律の条文はありません。会則に招集の方法と議決の要件があればそれが基準になり、なければ、これまでの運営の慣行と、招集通知の記録が判断材料になります。決議が争われたときに会が示せるのは、通知・出席・議事録の記録だけです。記録が整っていない会は、まず今後の総会から、通知の控え、出欠表、議事録を保存する運用に切り替えます。

決議の効力を裁判所で争うことができる場合もありますが、その手続や見通しは、このガイドでは扱いません。会の中の対応としては、異議が出たときに、議事録と通知の記録を示して手続の経過を説明し、必要があれば臨時総会で議案を改めて決議し直す、という方法があります。法人でない社団には民事訴訟法29条により、代表者または管理人の定めがあれば、その名で訴え、訴えられることができるという規定があるため、会の代表者が当事者として扱われる場面があり得ます。会の代表者の定めと、代表者の権限は法人でない会の位置づけのページで整理しています。

会計の不正が疑われたとき:会の中の手順と、行政の監督

会計に不審な点があると言い出す会員が出たとき、会が避けたいのは、噂が先行して会員が二分されることです。まず、事実を確かめる手順を会として決めて動きます。

会計の疑いが出たときの進め方(会の中でできること)

  1. 記録を確保する帳簿、領収書、通帳、決算書、総会の議事録を、会の保管場所から確保する。疑われた本人のみが持ち出せる状態にしない。
  2. 指摘の内容を特定するどの期間の、どの出入金について疑いがあるのかを、指摘した会員から書面で聞く。範囲を絞ることで、確認の作業が現実的になる。
  3. 監事または出納担当ではない役員が突き合わせる帳簿と通帳と領収書を照合し、不明な出入りを一覧にする。疑われた本人にも説明の機会を与える。
  4. 結果を総会(または役員会)に報告する誤りであれば訂正して報告し、不明な点があれば、説明のつかない金額と、その後の対応(返還、帳簿の訂正、再発防止)を決議する。
  5. 再発防止を会則に反映する通帳と印鑑の分離、支出の承認、帳簿の閲覧請求、監査の頻度を、会則または会計規程に書き込む。

私的な流用があった場合の民事・刑事の責任の見通しは、会のお金の管理のページで整理しています。会として警察などへ届け出るかどうかは、総会または役員会で決めます。

NPO法人の場合は、会の中の手順に加えて、行政の監督の仕組みがあります。所轄庁は、特定非営利活動法人が法令、法令に基づく行政庁の処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、法人に対し業務や財産の状況に関して報告をさせ、または職員に立入検査をさせることができます(41条1項)。法人が必要な要件を欠いたり、運営が著しく適正を欠くと認めるときなどには、期限を定めて改善のために必要な措置を採るよう命ずることができ(42条)、命令に違反した場合などには設立の認証を取り消すことがあります(43条)。認可地縁団体についても、認可の要件を欠くことになったときや、不正な手段で認可を受けたときは、市町村長が認可を取り消せます(地方自治法260条の2第14項)。

条文の早見:行政の監督に関する条文(現行の規定)

  • 特定非営利活動促進法41条所轄庁は、法令・処分・定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、報告をさせ、立入検査をさせることができる
  • 同法42条所轄庁は、要件を欠くに至ったとき、法令違反、運営が著しく適正を欠くと認めるときなどは、期限を定めて改善命令を出せる
  • 同法43条改善命令に違反した場合などや、3年以上にわたり事業報告書等を提出しない場合は、所轄庁は設立の認証を取り消すことができる
  • 地方自治法260条の2第14項市町村長は、認可地縁団体が要件のいずれかを欠くことになったとき、または不正な手段により認可を受けたときは、認可を取り消すことができる

行政の監督は、会の内部の紛争を解決する仕組みではありません。個々の会員の請求を認める制度でもないため、会としての自浄の手続を先に整えておく必要があります。

会則がない・古い・なり手がいない会の立て直し

会則がもともと無い会、あっても何十年も改正されていない会、役員が代わるたびに運用が変わってしまう会は少なくありません。立て直しで大切なのは、いきなり立派な会則を作ろうとせず、現状の運営を書き出し、最小限の骨格から始めることです。

会則の立て直しの順序

  1. 会の型を確かめる法人格の有無、認可の有無、民法上の組合か法人でない社団か、を確認する。型が決まれば、会則に必ず書くことの物差しが決まる(認可地縁団体は規約の8項目、NPO法人は定款の14項目)。
  2. 現状の運営を書き出す入会の方法、会費の額と集め方、役員の人数と任期、総会の開き方、お金の管理、名簿の扱い、行事の運営を、今やっている通りに書き出す。
  3. 問題が起きた点を優先する揉め事や苦情が出た場面(退会、会費、決議、名簿、事故)から、条文にする。
  4. 最小限の会則案を作る目的、名称、会員、会費、役員、総会、会計、会則の変更、解散の各章を、短い条文にまとめる。細目は細則や内規に分ける。
  5. 会員に案を示して意見を聞く案を配布し、意見を受け付ける期間を設ける。変更の理由を説明する資料を添える。
  6. 総会で承認し、施行日を決める招集通知に会則案を添付し、総会で議決する。議事録に決議の結果を残す。施行日と、旧会則からの経過措置を書く。
  7. 保管と周知会則の原本の保管場所を決め、会員全員が見られるようにする。役員の引継ぎ書に会則を含める。

認可地縁団体の規約の変更は、総構成員の4分の3以上の同意と市町村長の認可が必要です(地方自治法260条の3。規約に別段の定めがあるときを除く)。NPO法人の定款の変更は、社員総会の議決を経て、事項によっては所轄庁の認証または届出が必要になります(特定非営利活動促進法25条)。型ごとの手続は、自治会・町内会と認可地縁団体のページとNPO法人の定款のページで扱っています。

会則が無い会は、まず「会則を作る」ことを総会の議題に載せ、検討する役員(数名)を決めます。作業中も会は動き続けるため、検討中の運用ルール(会費の額、役員の任期、総会の開催時期)は、暫定的に総会で確認して議事録に残します。会則の全体設計は、会則・規約・定款の違いと作り方のページで整理しています。

役員のなり手がいない、辞めると言い出した:欠員と代表者不在の見通し

輪番制でも役員が回らない、会長が高齢で辞めたいと言い出した、役員が急に辞任した。役員のなり手の問題は、多くの会で共通の悩みです。会則に役員の定数と任期、欠員が生じたときの補充を書き、代表者が不在になる期間を作らないことが、基本の備えになります。

NPO法人では、役員の任期は2年以内で定款で定め、再任を妨げません(特定非営利活動促進法24条1項)。理事または監事のうち、定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充しなければなりません(同法22条)。認可地縁団体には、一人の代表者を置かなければならず(地方自治法260条の5)、代表者が欠けた場合で事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人または検察官の請求により、仮代表者を選任しなければなりません(同法260条の9)。つまり、代表者の不在が続くと、裁判所の関与を要する状況になり得ます。

なり手がいないときに輪番制を選ぶ会は多いのですが、輪番制は、誰でも役員になり得ることを前提にした制度です。役員の責任を負いたくない、時間が取れない、という会員に、会則で一律に就任を義務づける形にすると、就任を拒む会員との対立が生じやすくなります。輪番制を採る場合は、辞退できる事由(高齢、病気、介護、育児など)と、辞退した場合の代わりの負担(行事の手伝い、会費の加算など)の有無を会則に書き、総会で承認を得ておきます。負担の趣旨や、役員の責任の見通しは役員の選任・任期・責任のページで扱っています。

名簿の誤送信・紛失などの初動:個人情報の流出が起きたとき

メールの宛先を誤って全員に公開した。名簿のコピーを置き忘れた。パソコンやスマートフォンの紛失で、会員の連絡先が流出した可能性がある。こうした事態が起きたとき、役員が慌てて誰にも言わずに処理しようとすると、被害が広がり、会への信頼を損ねます。初動の順序を決めておくことが大切です。

個人情報の流出が疑われたときの初動

  1. 拡大を止める誤送信ならメールの回収や削除の依頼、紛失なら関係するアカウントのパスワード変更とログインの停止を、直ちに行う。
  2. 事実を確認するいつ、何の情報が、何人分、誰に渡った(または渡った可能性がある)かを、記録する。推測と確認済みの事実を分けて書く。
  3. 会長(代表者)へ報告する発見した人が一人で抱えず、同日中に会長と名簿の管理者へ報告する。
  4. 本人へ連絡する影響を受ける会員に、事実と、会が取った措置、問い合わせ先を知らせる。個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定める事態に当たる場合には、個人情報保護委員会への報告と本人への通知の義務がある(個人情報保護法26条)。
  5. 再発防止策を決めるメールの宛先を隠す機能の使用、名簿の持ち出しの禁止、パスワードの管理、保管場所の見直しを、役員会で決めて記録する。

個人情報保護法26条の報告・通知の対象になるのは、個人情報取扱事業者が、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定める事態を生じさせた場合です。名簿を事業の用に供している会は、営利・非営利を問わず個人情報取扱事業者に当たり得ます。規則で定める事態に当たらない場合でも、本人への連絡と再発防止の措置は、会として行うのが望ましい対応です。日常の名簿の扱いは会員名簿・連絡網・写真の扱いのページで扱っています。

12のページの論点の再整理:会則に書くことの一覧

これまでのページで扱った論点を、会則に書く項目として並べ直します。会則を作る、直す、点検するときのチェックの順序として使ってください。

会則に書くことの一覧(点検用)

  • 型と位置づけ:会の名称、目的、法人格の有無、代表者、契約・口座の名義の扱い(全体像、法人でない会)。
  • 認可地縁団体・NPO法人の追加事項:規約の8項目、定款の14項目、変更の手続(自治会の認可、NPO法人の定款)。
  • 会員:会員の種類、入会の審査、休会・退会、除名の手続と弁明の機会(入会・退会・除名)。
  • お金:会費・入会金・寄付・臨時徴収、滞納への対応、口座、帳簿、決算、監査、引継ぎ(会費、お金の管理)。
  • 機関:総会の招集・議決・議事録、役員の定数・任期・権限・欠員、利益相反(総会と議事録、役員の責任)。
  • 情報と安全:名簿の利用目的、配布、写真、保管、削除、行事の安全対策と参加同意書(名簿・個人情報、行事と事故)。
  • 終わり方と引継ぎ:解散の決議、残余財産の帰属、清算、役員交代時の引継ぎ書(解散・引継ぎ)。

よくある疑問と回答会の運営で繰り返し聞かれる質問

  1. 会則が見つからない場合、これまでの運営は無効になりますか。

    会則が見つからないからといって、直ちにこれまでの決議や運営が無効になるわけではありません。見つかった議事録や慣行を手がかりに、現状の運営を整理し、総会で会則を改めて承認することで、以後の運営の基準を作ります。

  2. 総会の議事録に、署名人がいない場合はどうなりますか。

    議事録の署名の要否は、会則の定めによります。会則に署名人の定めがあれば、それに従います。後からでも、出席した署名人に確認をとって署名を整え、補正した経緯を記録に残すのが実務的です。

  3. 会長が個人名義で借りた会場の費用を、会が払ってくれません。

    会の行事のために会長が立て替えた費用は、承認の手続と精算の期限が会則に書かれているかで整理します。記録(領収書、承認の記録)を示して、総会または役員会で精算を決議します。

  4. 自治会に加入していない世帯にも、ごみ置き場の利用を認めなければなりませんか。

    利用の可否は、ごみ置き場の管理の仕組み(市町村の制度か、自治会独自の設置か)と、費用負担の取決めによって異なります。認可地縁団体は、区域内の個人の加入を正当な理由なく拒めませんが(地方自治法260条の2第7項)、加入していない世帯への施設の利用は別の論点です。市町村の案内も確認します。

起きがちなこと:トラブルへの対応でやりがちな失敗

起きがちなこと

  • 会則の確認をせず、慣行だけで判断する。役員の記憶で「これまでは」と答え、会則の文言と食い違って対立が深まる。まず会則の該当条文を確認する。
  • 異議を出した会員に、議事録を見せない。見せないことで疑念が深まる。会員の閲覧請求に応じる手続を、会則で決めておく。
  • 会計の疑いを、役員会だけで内密に処理する。会員への説明がなく、噂が広がる。監事の確認と総会への報告を、会則に基づく手順として行う。
  • 退会届を口頭で受けて、記録に残さない。退会の日付と未納会費の精算で争いになる。書面で受け、受付日を記した控えを渡す。
  • 輪番制で、辞退を認めない。高齢や介護などの事情がある会員に就任を強いて、会そのものを辞める人が出る。辞退事由を会則に書く。
  • 名簿の流出を、担当者が一人で隠そうとする。被害の拡大を招き、会の信頼を損ねる。発見した人が同日中に報告する決まりにする。
  • 異議が出るたびに、会則を継ぎ足す。条文どうしが矛盾する。年に一度、総会前に会則全体を点検する。

会のトラブルは、起きてから対処するよりも、会則と記録で起きにくくするほうがはるかに効果的です。ここに挙げた論点のうち、自分の会に欠けているものから順に、会則と運用を整えてください。解散や役員交代など、会の節目での備えは解散・合併・引継ぎのページで扱っています。

よくあるご質問

会員が「会則を見せてほしい」「議事録を見せてほしい」と言ってきたら、応じる必要がありますか。

法人でない同好会やサークルには、閲覧を義務づける団体法上の条文はなく、会則の定めによります。NPO法人は、社員その他の利害関係人から事業報告書等、役員名簿、定款等の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて閲覧させなければなりません(特定非営利活動促進法28条3項)。会員の信頼を保つ観点から、会則と議事録は会員に見せられる運用にし、閲覧の方法を会則に書いておくことをおすすめします。

総会の決議に異議が出たら、やり直さなければなりませんか。

手続に問題がなければ、やり直す必要はありません。招集の通知、通知した議題、決議の要件、議事録の記載を確かめ、問題がなければ、その経過を説明します。手続に不備があれば、臨時総会を開いて議案を改めて決議し直す方法があります。決議の効力を裁判所で争うことができる場合の手続や見通しは、このガイドでは扱っていません。

会計に不審な点があるとき、会員が帳簿を見ることはできますか。

法人でない会は、会則の定めによります。見せる仕組みがないと噂が先に広がるため、会則に閲覧の請求と監事の確認、総会への報告を書いておくことをおすすめします。NPO法人の場合は、社員などの利害関係人が事業報告書等の閲覧を請求できます(特定非営利活動促進法28条3項)。所轄庁による報告・検査・改善命令の制度もあります(同法41条〜43条)。

役員が辞めてしまい、代表者が不在になりました。どうすればよいですか。

まず会則の定めに従い、総会または役員会で後任を選任します。認可地縁団体には代表者を1人置く必要があり(地方自治法260条の5)、代表者が欠けた場合に事務が遅滞して損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所が仮代表者を選任する制度があります(同法260条の9)。NPO法人は、理事または監事のうち定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充する必要があります(特定非営利活動促進法22条)。

名簿を誤って送ってしまいました。会員に知らせるべきですか。

事実を確認したうえで、影響を受ける会員に、起きたこと、会の対応、問い合わせ先を知らせるのが望ましい対応です。個人情報保護法の個人情報取扱事業者に当たり、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定める事態に当たる場合には、個人情報保護委員会への報告と本人への通知の義務があります(26条)。名簿を事業の用に供している会は、営利・非営利を問わず個人情報取扱事業者に当たり得るため、名簿の流出などの場面では、この報告と通知が必要になる場合を想定しておきます。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の団体への当てはめは、団体の種類(法人格の有無、認可の有無)や会則の定めによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、会則作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の団体や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 内閣府NPOポータルサイト / 個人情報保護委員会

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