行事・活動中の事故と責任:免責の書き方の限界と、同意書で備えること

手弁当の行事でも、事故が起きれば責任の問題が生じます。事故の型ごとの根拠と、自己責任と書くことの限界、参加同意書に入れる項目、役員個人の責任を小さくする運営を整理します。

トップページ › 行事・活動中の事故と責任:免責の書き方の限界と、同意書で備えること
自己責任と書いておけば足りるとは言えません。書面の役割は責任を免れることではなく、事前の説明、役割分担、記録によって、責任が生じる場面を減らすことです。

このページの要点

  • 事故の根拠は型ごとに違う。参加者のけがは民法709条・415条、子どもの監督は714条、会場や設備の欠陥は717条で整理する。
  • 一切責任を負わないという条項は、故意・重過失まで免れられず、消費者契約法8条・10条や民法90条の対象になり得る。範囲を絞り、安全対策とセットで書く。
  • 参加同意書は、危険の説明、体調の申告、緊急連絡先、撮影・掲載の選択、保険の内容、保護者の同意を載せ、説明を尽くした記録にする。
  • 行事ごとの責任者、役割分担表、点検の記録、中止の基準を決めておくことが、役員個人の責任を小さくする運営につながる。

結論:事故の責任は「書いてあれば免れる」ものではない。型ごとに根拠を知り、備えを会則と申込書に分ける

夏祭り、餅つき、清掃活動、遠足、スポーツ大会、防災訓練、サークルの合宿。営利を目的としない会の行事は、世話役が手弁当で運営することが多く、保険や契約のことは後回しになりがちです。ところが、参加者がけがをしたり、設備が壊れて通行人に当たったり、子どもが他の参加者にけがをさせたりしたとき、「誰がどの根拠で責任を負うのか」が曖昧なまま、役員が悩むことになります。

最初に押さえたいのは、「自己責任と書いておけば足りる」「無償のボランティアだから責任はない」という整理は、法律の上では成り立たないということです。責任の有無は、事故の型(参加者本人のけが、第三者への損害、設備の欠陥、子どもの監督)と、会や役員の行動(注意を尽くしたか、安全の確認をしたか)によって決まります。書面は、責任の「有無」を決めるのではなく、事前の説明と同意、役割分担、記録を通じて、責任が生じる場面を減らし、生じたときの対応を決めておく道具です。

先に結論を一覧にします

  • 故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した者は、損害を賠償する責任を負います(民法709条)。行事の運営で注意を怠れば、役員個人にこの責任が及ぶ可能性があります。
  • 参加費を取る行事では、参加者との間に契約が成立しているとみられる場面があり、契約上の責任(民法415条)も問題になり得ます。団体は消費者契約法の「事業者」に含まれ得るため(同法2条2項)、免責条項は同法8条・10条の対象になり得ます。
  • 子どもの行事では、責任能力のない子どもを監督する者の責任(民法714条)が、保護者だけでなく「代わって監督する者」にも及ぶ可能性があります。引率の体制と、保護者との役割分担を決めておきます。
  • 会場や遊具、テントなどの設備の欠陥によって事故が起きたときは、工作物の占有者・所有者の責任(民法717条)が問題になります。会が占有しているのか、貸主が占有しているのかを確認します。
  • 「一切の責任を負わない」と書いても、故意や重大な過失による損害まで免れることはできず、消費者契約に当たる場面では、軽い過失による責任を含めて全部を免除する条項も無効になり得ます(消費者契約法8条、民法90条)。書くなら、範囲を絞り、安全管理の約束とセットにします。

このページは、営利を目的としない会が自分たちの会員や参加者を対象に行う行事を想定しています。事業者が教室やイベントとして提供する場合の免責条項は、前提が異なるため扱いません。役員の責任の全体像(任期・代表権・利益相反)は役員の選任・任期・責任のページ、写真や緊急連絡先の個人情報としての扱いは会員名簿・連絡網・写真の扱いのページで整理しています。

事故の型ごとに、責任の根拠と備えを整理する

事故が起きたときに誰が責任を問われるかは、「どの型の事故か」で分けて考えると見通しが立ちます。次の表は、行事で起こりやすい型と、条文上の根拠、会則や申込書で備えるべき事項を整理したものです。

事故の型別:責任の根拠と備え

事故の型主な根拠問題になり得る人会則・申込書で備えること
参加者本人のけが(運動・作業・飲食)民法709条(不法行為)、415条(契約上の責任)運営した会、安全確認を担当した役員活動内容と危険性の説明、健康状態の申告、無理をしない旨、中止の基準、救急対応の担当者
参加者が第三者にけがをさせる民法709条(行為者本人)、714条(責任能力のない者を監督する者)行為者本人、未成年者の場合は監督義務者参加者自身の注意義務、保護者の同伴や引率の範囲、持ち込む物の取扱い
会場・遊具・設備の欠陥による事故民法717条(工作物責任)、709条占有者(借りて使う会が占有者になる場合)、所有者使用前の点検、点検の記録、貸主との責任分担の確認、危険箇所の立入禁止
運営者の指示・手配の誤り民法709条、715条(使用者責任。当たるかは活動の実態による)指示した役員、会役割分担表、指示の記録、複数人での確認
預かった物品の紛失・盗難民法659条(無報酬の受寄者の注意義務)、415条預かりを引き受けた役員、会預からない扱いとする、預かる場合は受け渡しの記録、貴重品は各自管理
天候・災害・体調急変への対応の遅れ民法709条、415条中止判断を担当した役員、会中止の判断者と基準(気温・警報・参加者の様子)、連絡手段、救急搬送の手順

この表で「主な根拠」に挙げた民法の規定は、いずれも一般的な規定であり、事故が起きたからといって自動的に責任が発生するわけではありません。不法行為は故意または過失が要件で、被害者にも過失があれば、賠償の額が減額されることがあります(民法722条2項)。契約上の責任は、債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償の責任を負いません(同法415条1項ただし書)。つまり、安全のために尽くすべきことを尽くしていた、と説明できるかどうかが分かれ目になります。そのため、記録(点検、役割分担、説明の実施)を残しておくことが、責任を考えるうえでの出発点になります。

民法715条は、ある事業のために他人を使用する者が、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う、と定めています。行事を手伝ってくれるボランティアの行動が、この条文でいう「使用」や「事業の執行」に当たるかは、指揮監督の実態など個別の事情によって判断されます。役員と手伝いの人の間で、誰が誰に指示するのか、どこまでが会の活動なのかを、役割分担表であらかじめ明らかにしておくことが、判断の材料になります。

子どもが参加する行事:監督の責任と、保護者との役割分担

子どもが参加する行事では、二つの面が出てきます。一つは、子ども自身がけがをする場合に、会が安全に配慮する責任。もう一つは、子どもが他の参加者や第三者にけがをさせた場合に、誰がその責任を負うのかです。

民法は、未成年者が自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、賠償の責任を負わないと定めています(712条)。この場合、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者(親権者など)が、損害を賠償する責任を負います。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったときなどは責任を免れます。そして、監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、同じ責任を負います(714条1項・2項)。行事で子どもを預かり、保護者の代わりに子どもを見る立場にある会や引率者が、この「代わって監督する者」に当たるかどうかは、保護者との取決めの内容や、実際の見守りの態勢で判断されます。

この整理から導かれる会則上の備えは、保護者が同伴する行事と、子どもだけを預かる行事を区別して書くことです。保護者が同伴する行事では、子どもの監督は保護者にあることを前提に、会は会場の安全と全体の進行に責任を持つ、という分担を申込書に書きます。子どもだけを預かる行事では、引率する大人の人数と役割、子どもの人数に対する比率、移動中の安全確認の方法、迎えの引渡し方法を決めておきます。

子どもの行事の準備から終了までの流れ(一例)

  1. 計画:行事の危険を洗い出す場所、移動手段、活動内容(水辺・火・刃物・高所・車など)、天候、人数を確認し、危険が高いものを避けるか、監督の人数を増やす。
  2. 申込み:保護者に説明し、同意を取る活動の内容、同伴の要否、会が担う役割、保護者が担う役割、緊急連絡先、体調やアレルギーの申告、写真撮影の可否を、申込書に載せる。
  3. 直前:役割分担表と連絡網を確定する当日の責任者、救護の担当、子どもの人数確認の担当、保護者との連絡の担当を決め、連絡先を共有する。
  4. 当日:受付と引渡しを記録する集合時に出席を確認し、解散時に保護者または届け出た人に引き渡す。引渡しの記録を残す。
  5. 事故があったとき:応急対応・連絡・記録救急の手配、保護者への連絡、関係者の聞き取りと経過の記録、会の役員への報告を、同日中に行う。
  6. 終了後:振り返りと保管ヒヤリとした場面を記録し、次回の改善に反映する。申込書や記録は、会則で定めた期間保管する。

子どもの個人情報(アレルギーや体調)は要配慮個人情報にあたり得ます。取得と保管の注意は名簿・個人情報のページにまとめています。

「一切責任を負わない」の限界:民法90条と消費者契約法8条・10条

参加申込書や会則に、「参加中に生じた事故については、会は一切責任を負いません」と書いてある例は少なくありません。この文言をそのまま信頼してよいかが、世話役が最も迷う点の一つです。

まず、一般論として、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効です(民法90条)。故意や重大な過失があっても責任を負わないという合意は、この規定に照らして問題になり得ます。次に、参加費を取る行事のように、参加者との契約が成立する場面では、消費者契約法が関わる可能性があります。同法の「事業者」には、法人その他の団体が含まれ(2条2項)、「消費者」は事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く個人です(2条1項)。営利を目的としない会であっても、参加する個人との間の契約が「消費者契約」に当たり得ます。当たるかどうかは契約の内容と当事者の関係ごとに判断されますが、当たり得ることを前提に条項を作るほうが安全です。

条文の早見:免責条項に関わる条文(現行の規定)

  • 消費者契約法2条2項「事業者」は、法人その他の団体、および事業として又は事業のために契約の当事者となる場合の個人
  • 同法8条1項1号・2号事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効。故意または重大な過失によるものの一部免除も無効
  • 同法8条1項3号・4号債務の履行に際してされた事業者の不法行為による責任についても、全部免除、故意・重過失の一部免除は無効
  • 同法8条3項故意・重過失を除く事由による責任の一部を免除する条項は、重過失を除く過失のみに適用されることを明らかにしていないものは無効
  • 同法10条消費者の権利を制限し義務を加重する条項で、民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効
  • 民法90条公序良俗に反する法律行為は無効

個々の条項が無効になるかは、事案ごとの判断になります。ここでは、免責の書き方を考える入口として条文を示しています。

書き方の例(一般的な例) 事故と免責に関する条項

免責の範囲

よくある書き方参加中の事故について、会は一切責任を負いません。
整えた書き方会は、行事の運営にあたり、参加者の安全の確保に必要な注意を尽くします。参加者の自己の判断に基づく行動や、参加者の持病・体調の不申告に起因して生じた損害のうち、会に過失がないものについては、会は責任を負いません。

理由会の過失による損害まで含めて全部を免除する書き方は、消費者契約法8条1項1号・3号により無効になり得ます。免れる範囲を、具体的な場面のうち会に過失がないものに絞ると、無効と評価されるリスクが下がります。

参加者の義務

よくある書き方参加者は自己責任で参加してください。
整えた書き方参加者は、体調が優れないとき、または持病等のために活動に支障があるおそれがあるときは、参加前に会に申し出てください。活動中に体調の異変を感じたときは、直ちに近くの役員に申し出てください。

理由「自己責任」という抽象的な言葉より、参加者にしてほしい行動を具体的に書くほうが、事前の説明として効果があります。

保険

よくある書き方会が加入している保険で対応します。
整えた書き方会は、この行事に関して、傷害保険または賠償責任保険等に加入している場合は、その内容を申込書に記載する。保険金の支払の可否および金額は、保険契約の定めによる。

理由保険は、加入していても対象外の事故や上限があります。「対応します」と約束すると、支払われない場合に会が責任を問われかねません。

参加同意書に書く項目:使える形の同意書にする

参加同意書は、免責のための書類ではなく、事前に危険を説明し、参加者が理解したうえで参加することを確かめ、緊急時の連絡先を集めるための書類です。次の項目を満たしていれば、事故が起きたとき、会が必要な説明と注意を尽くしていたことを示す材料になります。

会則の例行事の参加同意書(骨子)

  1. 行事の名称、日時、場所、内容、集合と解散の方法を示す。
  2. 行事に伴う主な危険(例:屋外での熱中症、運動に伴う打撲・捻挫、器具の使用に伴うけが)を示し、会が講じる安全対策(例:水分補給の時間、救護担当の配置、中止の基準)を併せて示す。
  3. 参加者は、体調に不安がある場合や持病等のために活動に支障が生じるおそれがある場合は、あらかじめ申し出る。回答は任意であり、答えなかったことを理由に不利益に扱わない。
  4. 緊急連絡先を記入し、緊急時に会が救急搬送などの措置を取ること、その連絡のために記載された個人情報を使うことに同意する。
  5. 行事の撮影の有無、会報・ホームページ・SNSへの掲載の可否を、項目ごとに選択する。
  6. 会が加入している保険がある場合は、その内容を示す。保険の対象外の損害は、保険の定めによる。
  7. 会に過失がない場合に限り、○○に起因して生じた損害について会が責任を負わない範囲を明記する。
  8. 未成年の参加者の場合は、保護者が署名し、保護者の同伴の有無、引渡しの方法を記載する。

項目の数が多いと読まれません。1枚に収まるよう、行事の性質に合わせて項目を絞ります。体力を使う行事、水辺や火を使う行事、宿泊を伴う行事は、危険の説明を厚くします。

「署名したから免責される」わけではありませんが、署名がなければ、説明をしたことも、参加者が危険を理解したことも示せません。署名は、会が誠実に説明した記録になります。また、署名の様式を毎回同じにしておくと、役員が代わっても運用がぶれません。同意書の雛形を総会で承認し、細目は役員会で決めるようにしておくと、運営が楽になります。

役員個人の責任の見通しと、防ぎ方

事故が起きたとき、世話役が最も気にするのは、「自分が個人として責任を負うのか」でしょう。結論からいえば、役員であるというだけで責任を負うわけではなく、事故を引き起こした行為に過失があれば、民法709条により、役員個人が責任を負う可能性があります。また、会そのものが責任を負う場合の賠償の原資は、会の財産になります。法人でない会の場合に、会の財産で足りない部分を誰が負担するかは、団体の性質や個別の事情によって異なり、一律には言えません。そこで、会則による防ぎ方を整理します。

確認リスト:役員個人の責任を小さくする運営

  • 行事ごとに責任者を決め、役割分担表を作る。指示の系統と、中止を決める人を明らかにする。
  • 会場の点検、遊具や設備の点検、天候の確認を、チェックリストにして記録する。
  • 会の名義で契約し、会の財産から支払い、役員個人の財布から立て替えない運用を原則とする(会計の運用は会のお金の管理のページ)。
  • 会則に、役員が会の事務を行うにあたっての権限と、決裁の上限額を書く。権限を超えた行為を、会の行為として扱わない取決めを置く。
  • 会として保険に加入するかどうかを、総会または役員会で決議し、議事録に残す。加入する場合は、補償の範囲と対象になる行事を確認する。
  • 事故が起きたときの報告先、記録の取り方、被害者への初期対応を、あらかじめ文書にしておく。

認可地縁団体であれば、代表者は規約の規定に反することはできず、総会の決議に従わなければなりません(地方自治法260条の6)。NPO法人の理事は、定款で制限しない限り、すべて法人の業務について法人を代表します(特定非営利活動促進法16条)。団体の型ごとの代表権の整理は、役員の選任・任期・責任のページで扱っています。いずれにしても、行事の運営は、会として決めた手順に従い、記録を残して行うことが、役員自身を守ることにつながります。

会場・設備・貸会場の使用ルール:責任の分担をどう決めるか

集会所、公園、学校の施設、公共施設、民間の貸会場。会が借りて行事を行う場合、会場の使用規則と、会が負う責任の範囲を確認します。土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者が被害者に対して賠償責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が賠償しなければなりません(民法717条1項)。会が会場を借りて使用している間は、会が占有者として扱われる可能性があります。そのため、借りる前に設備の状態を確認し、気づいた不具合は貸主に伝え、使用中の注意を尽くしたことを記録します。

遊具やテント、ステージ、調理器具、延長コードなど、会が持ち込む設備は、会がその管理責任を負います。貸与を受ける場合は、貸主との間で、故障や事故のときの責任の分担を文書で確かめます。たとえば、使用前の点検は誰が行うか、事故が起きたときに誰が貸主へ連絡するか、損害が生じたときの費用の負担はどうなるかを、借用書や覚書に書いておきます。

共有施設を会員が継続して使うサークルの場合は、使用ルールを会則または細則に書きます。使用の時間、後片付けと鍵の管理、備品の取扱い、事故が起きたときの報告、禁止事項(火気、飲酒、大音量、宗教・政治・営業活動)を決めておくと、トラブルが起きたときの基準になります。禁止事項の線引きは、入会・退会・除名のページの会員の義務の章とそろえます。

確認の問いと理由行事を企画するときに確かめる問い

  1. この行事で最も起きやすい事故は何か。その事故を防ぐ担当者は決まっているか

    危険を言葉にしておくと、点検項目や役割が自然に決まります。決まっていない危険は、誰も見ていないということです。

  2. 中止にする基準と、判断する人は決まっているか

    判断の遅れによる事故は、責任の追及の焦点になりやすい場面です。気温、警報、参加者の様子といった基準を事前に決めます。

  3. 参加者に、危険の説明と体調の申告の機会を設けたか

    説明を尽くしたことが、事故が起きたときの会の説明の根拠になります。

  4. 会場や設備の点検結果を、記録として残したか

    工作物の瑕疵が問題になったとき、占有者が必要な注意をしたかが争点になります(民法717条1項)。

  5. 保険の対象になる行事・人・損害の範囲を、保険の案内で確認したか

    加入していても、対象外の場合があります。加入の事実だけで安心せず、補償の範囲を確かめます。

起きがちなこと:行事の事故をめぐる場面別の落とし穴

起きがちなこと

  • 参加同意書に「一切責任を負わない」とだけ書く。全部免除の条項は消費者契約法8条で無効とされ得るうえ、事前の説明の記録にもならない。範囲を絞り、安全対策とセットで書く。
  • 子どもの行事で、保護者と会の役割が曖昧。保護者が同伴しているのに会が見ているつもり、会が見ているつもりが保護者はいなくなっている、という状況が起きる。同伴の有無を申込書で区別する。
  • 点検の記録がない。点検したのに記録がなく、事故の後に「しっかり点検した」と説明できない。チェックリストに日付と担当者を記入して保存する。
  • 保険の補償範囲を確認していない。加入したつもりで、対象の行事や人が補償の範囲外だった。保険の案内で、対象と上限と除外を確かめる。
  • 役員が自己負担で立て替えて、事故後の費用が曖昧になる。見舞金や治療費の負担を、役員が個人の判断で引き受けてしまう。被害者への対応は、会として決めた手順で行う。
  • 写真の掲載で、後からトラブルになる。行事の写真を本人に聞かずに掲載し、削除を求められる。同意書で撮影と掲載の可否を項目ごとに選ばせる。
  • 事故の記録を取らない。その場で収まったけがを、報告も記録もせず、後日、症状が出て問題になる。軽いけがでも、日時・状況・対応を記録して役員に報告する。

行事の事故は、準備と記録で減らせます。同意書、点検、役割分担、保険の確認を、行事ごとに同じ手順で整えておけば、世話役が代わっても運営の質は保てます。事故が起きた後に会員の間で意見が割れたときの進め方は、会則・総会・会費をめぐるトラブルのページで整理しています。

よくあるご質問

参加同意書に「自己責任」と書いておけば、行事でけがが出ても責任を負いませんか。

「自己責任」と書くだけで責任を免れる、とは言えません。故意や重大な過失がある場合に責任を負わないという合意は、公序良俗に反するものとして問題になり得ます(民法90条)。参加費を取る行事など、参加者との契約が消費者契約に当たり得る場面では、責任の全部を免除する条項は無効になります(消費者契約法8条1項)。事前の説明、安全対策、体調の申告の機会を整えることが、現実的な備えです。

営利を目的としない会でも、消費者契約法の対象になりますか。

消費者契約法の「事業者」には、法人その他の団体が含まれます(2条2項)。営利を目的としているかどうかは問われていません。会と参加する個人との間の契約が「消費者契約」(同条3項)に当たるかは、契約の内容によるため、一律には言えません。当たり得ることを前提に、免責条項は範囲を絞って書くのが安全です。

子どもが他の参加者にけがをさせた場合、誰が責任を負いますか。

子どもが自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その子どもは賠償の責任を負いません(民法712条)。この場合、責任無能力者を監督する法定の義務を負う者(親権者など)が賠償責任を負います(同法714条1項)。監督義務者に代わって子どもを監督する者も同じ責任を負います(同条2項)。行事で会が子どもを預かる場合は、この「代わって監督する者」と評価される可能性があるため、引率の体制と保護者との分担を決めます。

借りた会場の設備の不具合で来場者がけがをしたら、会が責任を負いますか。

土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、工作物の占有者が賠償責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは所有者が責任を負います(民法717条1項)。会が会場を借りて使っている間は、占有者として扱われる可能性があります。借りる前の点検、不具合の貸主への連絡、点検の記録が重要です。

ボランティアの保険には、必ず加入しなければなりませんか。

保険への加入を一律に義務づける条文はありません。加入するかどうかは、行事の危険や会の財産の状況を踏まえて、総会または役員会で決めます。加入する場合は、補償の対象になる行事、人、損害の種類と、支払の上限、除外されるものを、保険の案内で確かめます。加入しているからといって、会や役員が一切責任を負わなくなるわけではありません。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の団体への当てはめは、団体の種類(法人格の有無、認可の有無)や会則の定めによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、会則作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の団体や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で現行の規定を確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 総務省 / 内閣府NPOポータルサイト / 個人情報保護委員会

アトラス行政書士法人|毎日5組限定契約書・利用規約の無料チェックお手元の書類の問題点を、行政書士が詳しく指摘します。1書類につき24時間以内に回答・お1人様3種類まで無料チェックの詳細を見る›

ご依頼の前に:対応の内容

詳しい内容を見る

自治会・同好会・NPO法人の会則や規約の作成・見直しは、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「NPO・自治会・同好会の会則ガイドを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る